全国的に百日咳の患者さんが増加しています。岡山市も例外ではなく、3月には感染症対策課から、医療機関へ注意喚起のメールが届きました。百日咳は百日咳菌の感染によって、激しい咳発作を特徴とする急性の気道感染症です。感染経路は飛沫感染や接触感染が主です。
赤ちゃんから大人まで、いずれの年齢でもかかりますが、乳児期早期の場合は、特徴的な咳がなく、無呼吸発作 → チアノーゼ(顔色や唇などが紫色に見える)→ けいれん → 呼吸停止と進むことがあります。また合併症としては肺炎や脳症などもあり特に注意が必要です。
予防には、5種混合ワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ、ヒブ)の接種が有効です。重症化しやすい因子としては、ワクチンを未接種、あるいは3回の接種が完了していない生後6ヶ月未満の乳児とされています。生後2ヶ月を過ぎたら、早めに接種を開始しましょう。ただしワクチンで獲得した百日咳の抗体は小学校入学前には低くなり、百日咳にかかる多くが小学生ということもわかってきました。日本小児科学会は、任意接種となりますが、小学校入学前に3種混合ワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風)の追加接種を、また、11-12歳の定期接種の2種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風)の代わりに3種混合ワクチンを接種することを推奨しています。抗生物質への耐性菌が増加しているなど、今後、さらに予防が大切になると思われます。
妊婦さんが妊娠早期に風しんに感染すると、生まれてくる赤ちゃんに障害が発生する可能性があります。
岡山市では風しんの無料抗体検査を行っています。対象者は、妊娠を希望する女性およびその配偶者などの同居者、風しん抗体価が低い妊婦の配偶者などの同居者です。検査結果で、抗体が低ければワクチンを接種することが推奨されています。岡山市では接種費用の一部を助成しています。先ずは無料の抗体検査をお勧めします。
最近、帯状疱疹の患者さんが散見されます。
水ぶくれを伴う赤い発疹が、腕や胸、背中(時に顔や首)などに帯状に出現し、痛みを伴う病気です。
原因は、水痘・帯状疱疹ウイルスです。
初めての感染では、水ぼうそうで発症し、治った後は、一生涯、体内に潜伏します、普段は免疫力により抑えられていますが、加齢やストレス、疲労などで免疫力が低下すると、ウイルスが暴れ出し帯状疱疹を発症します。
痛みが強かったり、出現部位によっては外見に影響し、日常生活に支障を来します。
日本の成人のほとんどは体内にウイルスを持ち、帯状疱疹になる可能性があります。
いずれの年齢でも発症しますが、特に50歳以上で多くなります。
皮膚症状以外に、目や耳、その他の合併症を来すこともあります。
全ての水ぶくれが、かさぶたに変化したら治癒となりますが、治った後も神経痛が長く続く、いわゆる帯状疱疹後神経痛が2割の患者さんに見られます。
治療には、ウイルスの増殖を押さえる抗ウイルス薬を使用します。
発症後はなるべく早く開始することがポイントです。
重症でなければ、一週間ほど飲み薬を服薬します。
予防には、50歳以上の方(免疫不全の方などは18歳以上で)には、ワクチンがあります。
また令和7年度からは65歳以上(一部60歳以上)で岡山市の設定する対象者への定期接種も始まります。
対象者は令和7年度に、65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳以上となられる方です。
日常の免疫力を低下させない体調管理を行い、ワクチンも利用していただければと思います。
ワクチンの在庫を御確認の上、来院をお願いします。
ウイルスが原因であることが多く、中でもノロウイルスは感染力が強く、集団感染しやすいことで知られています。例えば、牡蛎を食べて12-48時間後に、突然の嘔気や嘔吐、下痢や腹痛、発熱で発症したら、ノロウイルス感染症かもしれません。通常は、数日で治癒しますが特効薬は有りません。吐き気止めや整腸剤、経口補水液などで脱水症を予防することが重要で、特に高齢者や子どもには注意が必要です。
吐物や下痢便にはたくさんのノロウイルスが排泄され、人の手を介して様々なものに付着し、周囲の人に伝染する危険があります。ノロウイルスにはアルコール消毒が効かないので、手洗いは石けんを泡立てて、念入りに行います。調理器具の殺菌や消毒は次亜塩素酸ナトリウムを200ppmに希釈し、浸すように拭き取りましょう。吐物などでひどく汚染された場合は1000ppmに希釈し処理します。使用したペーパ-タオルなどはビニール袋にまとめましょう。作業中はウイルスを吸い込まないようにマスクも着用します。(次亜塩素酸ナトリウムの取り扱いには、皮膚に直接触れないこと、換気をすることなど十分注意してください。濃度の調整は製品毎の説明“キャップ○杯に水○○mlを”、を参照してください)。また熱湯やスチームアイロンで1分以上加熱する方法も有効です。
食材の十分な加熱、しっかり手洗い、またウイルスを吸い込まないように注意して予防をお願いします。